デジタルコンテンツ配信を基軸に事業を展開するフォーサイドは2025年2月13日、取締役会において株式会社antzの株式を取得し完全子会社化することを目的とした基本合意書を締結することを決議したと公表しました。決定ではなく、基本合意の段階です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社フォーサイド(2330・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社antz(総合人材サービス事業(一般労働者派遣・作業業務請負)、一般貨物自動車運送事業・貨物利用運送事業、ITソリューション事業) |
| 所在地 | 東京都千代田区 |
| 手法 | 株式譲渡(最終契約の締結後に発行済株式の全部を取得し完全子会社化する予定。基本合意書を締結) |
| 対価 | 未定(開示資料に「最終契約書締結に向けた協議において決定する予定。最終契約書締結後に開示を予定」と記載) |
| 日程 | 取締役会決議・基本合意書締結 2025年2月13日/本件株式譲渡実行日 2025年3月31日(予定) |
開示資料によれば、最終契約書の締結後に発行済株式1,020株の全部を取得して完全子会社化する予定で、取得の方法と取得価額は今後協議のうえ決定し、最終契約書の締結後に開示する予定としています。対象会社は2005年4月設立、資本金51百万円で、株式は個人1名が100%保有しています。直近3期の売上高は1,749,870千円、1,430,832千円、1,743,802千円、営業利益は40,394千円、7,400千円、38,649千円、当期純利益は1,906千円、2,800千円、43,273千円の損失です(出典:株式会社フォーサイド 2025年2月13日公表資料)。
取得の目的として同社は、自社グループが営むAI関連事業や運送事業においてIT開発者やトラックドライバーの確保に課題を抱えていること、対象会社が持つ人材派遣・業務請負・ITソリューションのノウハウを活用することでIT業界の人材の獲得を効率的に行えること、グループ内の人材確保だけでなく他社へのIT人材の供給も可能になることを挙げています。
開示資料には、同社代表が自社グループのAI関連事業における人材確保について知見を持つ人物を探していたところ、共通の知人から対象会社の代表者の紹介を受け、相談を進める中で本件の検討に至った経緯が記載されています。
中小企業の経営者は、どう読むか
開示資料に、案件が始まった経緯がそのまま書かれています。買い手の代表が課題を抱えて相談相手を探していたところ、共通の知人から紹介を受けた、という流れです。仲介会社を通した持ち込みだけがM&Aの入口ではありません。経営者同士の相談が、結果として譲渡の話になることもあります。
対象会社は直近の期に当期純損失を計上していますが、営業利益は前の期より回復しています。営業の段階と最終の段階で見え方が違う会社では、どこで損失が出ているのかを説明できることが重要になります。買い手はそこを必ず尋ねます。
基本合意の時点で、取得価額だけでなく取得の方法も「今後協議のうえ決定」とされています。株式を直接買うのか、増資を引き受けるのかといった形も、この段階では決まっていない場合があります。売る側から見れば、形が変われば手元に残る金額も税金も変わるということです。
買い手が求めたのは、自社の人手不足を埋める力でした。人材サービスの会社が、自社で人を採れない会社にとっての解決策として見られています。自社の事業が誰のどの困りごとを解けるのかを整理すると、思っていなかった業種が買い手候補に入ってきます。