アパレル事業のスリム化と不動産事業の拡大による構造転換に取り組むキムラタンは2025年2月20日、取締役会においてSwanStyle株式会社の発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社キムラタン(8107・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | SwanStyle株式会社(リノベーション事業、不動産特定共同事業) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市神奈川区 |
| 手法 | 株式取得(法人株主から発行済株式の全部を取得し連結子会社化) |
| 対価 | 2億円(開示資料にアドバイザリー費用等は0円と記載。直近の財務状況・収益力等を勘案し双方協議のうえ決定) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結 2025年2月20日/株式譲渡実行日 2025年3月28日(予定) |
開示資料によれば、取得株式数は6,100株で議決権所有割合は100.0%、取得価額は2億円、アドバイザリー費用等は0円と記載されています。取得価額は直近の財務状況や収益力等を勘案し、双方協議のうえで決定し、公正な価額であると認識しているとしています。対象会社は2017年4月設立、資本金1億円で、売上高は直近3期で424百万円、130百万円、84百万円、営業利益は25百万円、15百万円、23百万円です(出典:株式会社キムラタン 2025年2月20日公表資料)。
対象会社は2022年8月に不動産特定共同事業の許可を取得し、同年11月から2023年3月にかけてファンドを組成・運用していました。株式は法人1社が100%保有しています。開示資料には、対象会社および売り手法人の代表者が同社の取締役であり、当該人物は特別利害関係人であるため本件の決議に参加していないと注記されています(出典:株式会社キムラタン 2025年2月20日公表資料)。
取得の理由として同社は、不動産関連事業の領域拡大と収益力の強化に取り組むなかで「地方創生」をテーマに不動産特定共同事業への取り組みを検討してきたこと、以前から同事業の譲渡を申し入れており今回株式譲渡について了解を得られたこと、同事業の活用により不動産取得における資金調達の選択肢が広がり、対象会社が持つ物件仕入れのノウハウをグループ全体で共有できることを挙げています。
出典: 株式会社キムラタン(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ」(2025年02月20日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
買い手の取締役が、売り手側の会社の代表者を兼ねている案件です。開示では、その人物を特別利害関係人と位置づけ、本件の決議に参加させなかったことが明記されています。身内同士の取引では、価格の決め方と決議の手続きを外から見て分かる形にしておく必要があります。
買われたのは事業の規模ではなく、許可です。対象会社の売上は年々小さくなっていますが、買い手が挙げた理由は不動産特定共同事業の許可と、それによって広がる資金調達の選択肢でした。許可を要する事業では、その許可を持つ会社そのものが取引の対象になります。
アドバイザリー費用がゼロと開示されています。相手が身内で、譲渡の申し入れも以前から自分たちで行っていたためです。相手が決まっている取引では仲介を使わない形もありますが、その場合は価格の妥当性を誰がどう確かめたかを説明できるようにしておくことになります。
売り手側は、親会社・子会社と重なった株主構成のなかにありました。グループの中で会社を移すときも、株式の所有関係を整理してからでないと話が進みません。会社が複数あるなら、どの会社がどの会社の株式を持っているかを図にしておくことが出発点になります。