塗料などを手がけるナトコは2025年3月27日、取締役会において三丸化学株式会社の議決権66%の株式を取得するための株式譲渡契約を締結し、子会社化することを決議したと公表しました。

開示された事実

譲受(買い手)ナトコ株式会社(4627・東証スタンダード)
譲渡対象三丸化学株式会社(使用済有機溶剤の蒸留精製事業(電子機器製造工程の廃液を原料とした高純度リサイクル溶剤の生産・販売))
所在地宮城県柴田郡
手法株式取得(議決権の66%を取得し子会社化)
対価非公表(開示資料に「守秘義務により非開示」と記載)
日程取締役会決議 2025年3月27日/契約締結日 2025年4月1日(予定)/株式譲渡実行日 2025年6月30日(予定)

開示資料によれば、取得株式数は16,764株で取得後の議決権所有割合は66%、取得価額は守秘義務により非開示とされています。対象会社の大株主と持株比率も守秘義務により非開示です。対象会社は1981年7月設立、資本金80百万円、発行済株式数40,200株(うち自己株式14,800株)で、売上高は直近3期で619百万円、535百万円、447百万円、営業損益は67百万円、31百万円の損失、97百万円の損失です(出典:ナトコ株式会社 2025年3月27日公表資料)。

開示時点で同社の子会社が対象会社の再生リサイクル溶剤を購入していると記載されています。

取得の目的として同社は、中期経営計画で蒸留事業を塗料事業・ファインケミカル事業と並ぶ柱と位置づけ、高純度なリサイクル溶剤への取り組みを強化するとしていること、対象会社が高純度リサイクル溶剤の生産技術・設備と技術者を有していること、東北地区でリサイクル溶剤生産を手がける自社の子会社の生産余力に余裕がないなかで、対象会社の本社工場は生産設備に増産余地と用地の空きスペースを有しており、生産品目の最適化により相乗効果を生み出せると判断したことを挙げています。

出典: ナトコ株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「三丸化学株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」(2025年03月27日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

買い手が具体的に挙げたのは、対象会社の工場に増産の余地と空いている用地があることでした。自社の工場が手一杯で、これ以上作れないという状況を、他社の設備で解決しています。稼働に余裕のある設備は、それ自体が買い手にとっての価値です。

対象会社は売上が年々減り、直近は営業赤字です。それでも買われています。買い手の目的が設備と技術者の確保であれば、直近の損益より、その設備がどういう状態かが優先されます。

自己株式が発行済株式のかなりの割合を占めています。自己株式には議決権がないため、残りの株式で議決権の割合を計算することになります。過去に株式を買い取った経緯がある会社では、この計算を間違えやすいので注意が必要です。

買い手の子会社は、すでに対象会社から製品を買っていました。仕入先を引き継ぐ形の取得です。取引先として自社の製品を評価してくれている会社は、承継の相手として現実的な候補になります。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。