通信用ケーブルに強みを持つ平河ヒューテックは2025年3月28日、取締役会において吉野川電線株式会社の株式を取得し、子会社化することを決議したと公表しました。対象会社の資本金が自社の資本金の10分の1以上に相当することから、特定子会社に該当するとしています。

開示された事実

譲受(買い手)平河ヒューテック株式会社(5821・東証プライム)
譲渡対象吉野川電線株式会社(ロボットケーブル製造、電力用その他ケーブル・電線製造、ガス機器製造)
所在地香川県高松市
手法株式取得(上場企業2社などから株式を取得し議決権の74.6%を保有して子会社化。特定子会社に該当)
対価普通株式2,952百万円、アドバイザリー費用等の概算額56百万円、合計の概算額3,008百万円
日程取締役会決議・契約締結 2025年3月28日/株式譲渡実行日 2025年6月2日

開示資料によれば、取得株式数は2,208,550株で取得後の議決権所有割合は74.6%、取得価額は普通株式が2,952百万円、アドバイザリー費用等の概算額が56百万円、合計の概算額は3,008百万円です。対象会社の株主は非鉄金属の上場企業が32.9%、電線メーカーが32.9%、ほか法人および個人が22.4%、自己株式が11.7%です。対象会社は1948年7月設立、資本金404百万円で、連結売上高は直近3期で3,054百万円、3,048百万円、2,370百万円、連結営業利益は360百万円、338百万円、109百万円です(出典:平河ヒューテック株式会社 2025年3月28日公表資料)。

対象会社は産業用ロボットの高可動部位に使用されるケーブルを手がけ、耐久性と柔軟性に優れたケーブルの設計・製造の技術力とブランド力を有していると記載されています。

取得の理由として同社は、自社のケーブルは産業用ロボットを含む分野で主に低可動部位または固定部位に使われていること、両社の技術力を融合して産業用ロボットを含む市場と次世代の通信市場で売上拡大と新製品の投入を図ることを挙げています。

なお、精査中としながら、翌期において負ののれんが発生する見込みとしています(出典:平河ヒューテック株式会社 2025年3月28日公表資料)。

出典: 平河ヒューテック株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「吉野川電線株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(2025年03月28日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

開示に「負ののれんが発生する見込み」と書かれています。会社が持つ純資産の額より安い金額で買ったということです。買い手の帳簿には利益として現れます。売る側から見れば、純資産より低い価格で合意したことになります。

なぜそうなるかは、直近の業績を見ると読めます。売上が大きく落ち、利益も縮んでいます。買い手は将来の収益力を見て値段をつけるので、純資産の額がそのまま価格になるわけではありません。「うちは自己資本が厚いから高く売れる」とは限らないということです。

株主に上場企業が二社入っており、それぞれ三分の一近くを持っていました。加えて自己株式もあります。このような構成では、誰と何をどう合意するかが交渉の中心になります。過半数を超えさえすれば子会社にはできるため、全株式を集めない形で決着することもあります。

対象会社は狭い分野で先駆者としての立場を築いていました。買い手は自社が弱い領域を補うために引き継いでいます。分野を絞って深く積み上げてきた会社は、隣の領域にいる会社から見て価値があります。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。