日鉄ソリューションズは2025年4月23日、インフォコム株式会社の全発行済株式を取得し子会社化することを目的とした株式譲渡契約の締結を決定したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 日鉄ソリューションズ株式会社(2327・東証プライム・名証・福証) |
|---|---|
| 譲渡対象 | インフォコム株式会社(企業・医療機関・製薬企業・公共機関等に対する情報システムの企画・開発・運用・管理等のITサービス) |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 手法 | 株式取得(対象会社が事前の組織再編で電子コミック配信事業を現物配当により切り離したうえで、持株会社から全発行済株式を取得) |
| 対価 | 約550億円(予定。対象会社が保有する現預金見合いの対価を含む。最終的な譲渡価額は株式譲渡契約に基づく価格調整を経て確定) |
| 日程 | 取締役会決議 2025年3月31日/代表取締役決定日・契約締結日 2025年4月23日/株式譲渡実行日 2025年7月1日(予定) |
開示資料によれば、本契約に基づき対象会社は、完全子会社で電子コミック配信サービスを行う会社の全発行済株式を持株会社に対する現物配当により切り離します。この事前の組織再編の後に同社が全発行済株式を取得し、取得時点の対象会社はITサービス事業のみを行う予定です。取得価額は約550億円(予定)で、対象会社が保有する現預金見合いの対価を含み、最終的な譲渡価額は契約に基づく価格調整を経て確定するとしています(出典:日鉄ソリューションズ株式会社 2025年4月23日公表資料)。
対象会社は1983年2月設立、資本金1億円で、株式は持株会社が100%保有しています。連結売上高は直近3期で64,586百万円、70,342百万円、84,453百万円、連結営業利益は10,098百万円、8,526百万円、9,784百万円です。このうち事前の組織再編で切り離される事業を除くITサービス部門の売上高は24,253百万円、24,308百万円、27,506百万円、セグメント利益は2,329百万円、2,483百万円、2,315百万円と参考として示されています(出典:日鉄ソリューションズ株式会社 2025年4月23日公表資料)。
取得の理由として同社は、事業領域の拡大とビジネスモデル変革に取り組んでおり、競争力のある資産を保有する企業との連携が不可欠であること、対象会社が製造業や商社系サービス業で高い業務知見を持ち大手企業向けのシステム構築を事業としていること、中堅企業向けの基幹システムの開発元であり、ヘルスケアや危機管理といった社会課題解決型の自社サービスを有していることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
買う前に、対象会社の一部の事業を切り離しています。買い手が欲しいのはIT事業だけで、電子コミックの配信事業は要らなかったということです。渡す側が事前に事業を分けておく形は、複数の事業を営む会社の譲渡で実際に選ばれます。
そのため開示は、会社全体の連結の数字と、残る事業だけの数字を並べて示しています。買い手が見ているのは後者です。事業ごとの売上と利益を分けて示せるかどうかが、この形をとれるかの分かれ目になります。
取得価額に「保有する現預金見合いの対価を含む」と明記され、最終額は価格調整を経て確定するとしています。手元に現金を多く持つ会社は、その分だけ価格が上がるという考え方です。譲渡の前に現金をどう扱うかは、受け取る金額に直接影響します。
取締役会で方針を決め、その後に代表取締役が最終決定して契約を締結する、という段取りが明記されています。買い手側の意思決定にも段階があり、返事に時間がかかるのは関心の有無とは別の理由であることがあります。