弁護士ドットコムは2023年10月2日、株式会社エル・アイ・シーの発行する全ての株式を取得することを取締役会で決議したと公表しました。取締役会決議、株式譲渡契約の締結、株式譲渡の実行がいずれも同日です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 弁護士ドットコム株式会社(6027・東証グロース) |
|---|---|
| 譲渡(売り手) | 株式会社エル・アイ・シーの株主(個人。開示資料では相手先が個人であることのみ記載) |
| 譲渡対象 | 株式会社エル・アイ・シー(判例データベース「判例秘書」の開発および提供) |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 手法 | 株式譲渡(発行済みの全株式を取得。販売子会社の株式会社EOC.comも傘下に入る) |
| 対価 | 非開示(開示資料は、取得価格が自社の純資産の15%以上で開示基準に該当するものの、相手先が個人であり金額が推察されることによる安全保護上の観点と秘密保持の合意により非開示と記載) |
| 日程 | 2023年10月2日 取締役会決議/同日 株式譲渡契約締結/同日 株式譲渡実行 |
取得株式数は400株(議決権40個)で、取得前の所有割合は0%、取得後は100%です(出典:弁護士ドットコム株式会社 2023年10月2日公表資料)
対象会社は1996年4月26日設立、所在地は東京都港区、資本金は20,000千円で、判例データベース「判例秘書」の開発および提供を行っています。2023年3月期の売上高は1,665百万円、営業利益は146百万円、総資産は1,964百万円です(出典:弁護士ドットコム株式会社 2023年10月2日公表資料)
対象会社は「判例秘書」を販売する子会社として株式会社EOC.comを100%保有しており、こちらも傘下に入ります。EOC.comは2007年5月24日設立、所在地は大阪府大阪市北区、資本金は10,000千円で、2022年9月期の売上高は310百万円です(出典:弁護士ドットコム株式会社 2023年10月2日公表資料)
取得価格は非開示です。開示資料は、金額が自社の純資産の15%以上であり開示基準に該当するとしながら、相手先が個人であり金額が推察されることによる安全保護上の観点と、当事者間の秘密保持の合意に基づいて非開示としています。あわせて、第三者算定機関による評価等を踏まえて決定したこと、本件に係るアドバイザリー費用等の概算額が200万円であることが記載されています(出典:弁護士ドットコム株式会社 2023年10月2日公表資料)
開示資料には、本件の後も対象会社の創業者が代表取締役社長の任務を継続すると記載されています。
今後の見通しとして、2024年3月期第3四半期から対象会社の業績が連結に反映され、売上高で7〜8億円の増収寄与を見込むこと、精緻な数字と営業利益の影響額は精査中で2023年12月までに連結業績予想を公表する予定であることが記載されています(出典:弁護士ドットコム株式会社 2023年10月2日公表資料)
出典: 弁護士ドットコム株式会社「株式会社エル・アイ・シーの株式取得に関するお知らせ」(2023年10月02日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
買い手が欲しかったのは、長年ためてきたデータそのものです。設備でも店舗でもない資産が、価格の中心になることがあります。
売り手の側から見ると、創業から続けてきた一つの事業を、全部まとめて渡した形です。残す株はありません。
それでも創業者は社長を続けます。株を手放すことと、経営から離れることは、同じ日に起こるとは限りません。
決議・契約・実行が同じ日に並んでいます。事前の話し合いが整っていれば、表に出る手続きは一日で終わります。
取得価格は、相手が個人であることを理由に出していません。売り手が個人のとき、金額が自分の手取りとして読まれることは、本人にとって重い話です。非開示にできるかどうかは、早い段階で確かめておく論点です。
買い手は、相談にかかった費用の概算まで出しています。自社が払う側の費用は、こうして株主に示されます。
業績への影響を「精査中」として後日に回しています。数字を急いで出さないことは、きちんと確かめている印でもあります。