外食・宅食事業を手がけるワタミは2024年10月25日、日本サブウェイ合同会社の持分を取得して子会社化するとともに、オランダに所在するフランチャイザーとのマスターフランチャイズ契約を締結したと公表しました。マスターフランチャイズ契約の契約期間は契約締結日から10年間です。
開示された事実
| 譲受(買い手) | ワタミ株式会社(7522・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 日本サブウェイ合同会社(飲食店の経営、フランチャイズ方式による飲食店の経営) |
| 所在地 | 東京都品川区 |
| 手法 | 合同会社の持分取得(100%)と、フランチャイザーとのマスターフランチャイズ契約の締結を同日に実施 |
| 対価 | 非開示(守秘義務により開示を控えるとし、第三者機関による価格算定で妥当性を検証。資金は金融機関からの借入金を充当予定) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結・持分譲渡実行 いずれも2024年10月25日/マスターフランチャイズ契約の契約期間は契約締結日から10年間 |
対象会社は1991年10月16日設立、資本金1億円で、飲食店の経営とフランチャイズ方式による飲食店の経営を行っています。売上高は458百万円(2021年12月期)、635百万円(2022年12月期)、536百万円(2023年12月期)、純資産は42百万円、391百万円、416百万円と推移しています(出典:ワタミ株式会社 2024年10月25日公表資料)。
取得持分数は100%です。取得価額は、守秘義務により開示を控えるとしたうえで、取得の公平性・妥当性を確保するため第三者機関による適切な価格算定を実施し、金額の妥当性を検証していると記載されています。資金は金融機関からの借入金を充当予定としています(出典:ワタミ株式会社 2024年10月25日公表資料)。
取得の理由として買い手は、国内7カ所で530haの規模で農業・酪農を行い、生産した農畜産物を自社で加工し、外食事業や宅食事業を通じて提供する一貫した事業を進めていると説明しています(出典:ワタミ株式会社 2024年10月25日公表資料)。そのうえで、世界的ブランドの事業に参入することで食の総合企業としての事業展開を強化し、自社農場の有機野菜を使用した商品開発、フランチャイズ展開のノウハウの強化、海外進出の促進などが見込まれるとしています。
取締役会決議、契約締結、持分譲渡実行はいずれも2024年10月25日の同日です。今後の見通しとして、連結業績に与える影響は軽微と予想しているとしています。
中小企業の経営者は、どう読むか
この案件で渡っているのは、株式ではありません。合同会社の持分です。会社の形が株式会社でない場合、譲るのは株式ではなく持分になり、手続の根拠となる条文も変わります。自社が合同会社や有限会社である場合は、最初に器の形を確認するところから始まります。
同じ日に、会社の持分の取得と、ブランドを日本で展開する契約の締結が行われています。会社を引き継ぐだけでは事業が続かない場合があるということです。フランチャイズに加盟している会社を譲るときは、株主が変わることを本部が認めるかどうかが前提になります。本部の同意が必要かどうかは、加盟契約に書かれています。
取得価額は、守秘義務により開示を控えると明記されています。そのうえで、第三者機関による価格算定を行って妥当性を検証したと書かれています。金額を出さないことと、根拠を持たないことは別だという整理です。売り手として金額の公表を望まない場合も、算定の根拠は残ります。
買収資金は金融機関からの借入金を充当する予定と書かれています。上場企業でも、手元の現金だけで買うとは限りません。買い手が借入で買う場合、融資が下りるかどうかが日程に影響します。相手がどう資金を用意するのかは、売り手にとっても確かめておく項目です。
対象会社の売上は五億円台です。上場企業のグループに入る規模として、大きくはありません。ただし、この会社が持っていたのは売上ではなくブランドの運営の立場でした。何を持っている会社なのかは、決算書の金額だけでは表れません。