塗料の日本ペイントホールディングスは2024年10月28日、米国・欧州を中心に事業を展開するAOC, LLCをはじめとした企業群を傘下とするLSF11 A5 TopCo LLCの全持分を取得して子会社化することを決定し、持分譲渡契約を締結したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 日本ペイントホールディングス株式会社(4612・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | LSF11 A5 TopCo LLC(AOC社)(コーティング周辺製品等向けの不飽和ポリエステルやビニルエステル等の配合設計・製造・販売を手掛ける運営会社の持株会社) |
| 所在地 | 米国テネシー州 |
| 手法 | 持分取得(全持分を取得して子会社化。売り手はリミテッド・パートナーシップ) |
| 対価 | 2,304百万USD(334,080百万円)。1USD=145円 |
| 日程 | 2024年9月26日 取締役決議/2024年10月28日 正式決定・契約締結/2025年上期中 持分譲渡実行予定 |
開示資料によれば、取得持分は100%で、異動前の持分は0%です。取得価額は2,304百万USD(334,080百万円、1USD=145円で換算)です。売り手はLSF11 A5 Parent, L.P.で、その出資者はLone Star Fund XI, L.P.と記載されています(出典:日本ペイントホールディングス株式会社 2024年10月28日公表資料)。
日程は、取締役決議日が2024年9月26日、正式決定日と契約締結日がいずれも2024年10月28日、持分譲渡実行日が2025年上期中の予定です。買収資金は金融機関からの借入を想定しており、新株発行を伴う資金調達は予定していないと記載されています。対象会社の傘下にあるAOC India Pvt Ltdについては、インドの規制当局による許認可取得の都合上、株式譲渡実行日までに一旦対象会社グループ外に全株式が譲渡され、必要な許認可を取得次第、再度全株式が取得される予定と記載されています(出典:日本ペイントホールディングス株式会社 2024年10月28日公表資料)。
買い手は、対象会社が幅広い顧客基盤、顧客のニーズに合わせて高度にカスタマイズ可能な技術力、柔軟に対応可能な物流網の保有等により米国及び欧州市場においてリーディングポジションを獲得していること、優れた収益性や軽い設備投資負担等の特長によりキャッシュ創出力を有していることを理由に挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
売り手は投資を目的として組まれたファンドです。ファンドが売り手の場合、相手は事業を続けるために持っているのではなく、いずれ手放す前提で持っています。交渉の進み方や、いつまでに決めたいかの感覚が、創業家が売り手のときとは違ってきます。
対象会社は会社ではなく持分という形で持たれています。国や器の種類によって、買うものが株式なのか持分なのかが変わります。日本の中小企業でも、合同会社や組合が絡むと同じ話になるので、何を譲るのかの呼び名は契約書で確かめることになります。
傘下のインド法人については、許認可の都合でいったんグループの外へ出し、許可が取れてから戻すと書かれています。規制のある事業が含まれていると、全部を同じ日に動かせないことがあります。許可の要る事業を持っているなら、どの順で動かすかを先に組み立てておくところです。
買い手は、買収に要する資金を借入で用意し、新株の発行はしないと明記しています。買い手がどこからお金を出すのかは、実行できるかどうかに直結します。売り手として相手の資金の裏付けを確かめるのは、条件の話と同じくらい大事な部分です。