日本特殊陶業は2024年11月25日、株式会社東芝から東芝マテリアル株式会社の全株式を取得することを決議したと公表しました。取得株式数は10,000株で、取得後の議決権所有割合は100.0%となります。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 日本特殊陶業株式会社(5334・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 東芝マテリアル株式会社(ファインセラミックス、蛍光材料応用製品、磁性材料部品、タングステン・モリブデンなどの部品・材料の開発、製造、販売) |
| 所在地 | 神奈川県横浜市磯子区 |
| 手法 | 株式取得。株式会社東芝から発行済株式の100.0%を取得 |
| 対価 | 約150,000百万円(株式取得の対価に加えネット有利子負債の額を含む。最終的な取得価額は変動する見込み) |
| 日程 | 取締役会決議・契約締結 2024年11月25日/株式譲渡実行 2025年5月30日(予定)。実行は国内外の競争法当局によるクリアランスその他の法令上必要となる関係当局の手続を前提とする |
取得価額は約150,000百万円です。開示資料は、この取得価額が株式取得の対価に加えてネット有利子負債の額を含むものであり、最終的な取得価額は変動する見込みであると注記しています(出典:日本特殊陶業株式会社 2024年11月25日公表資料)。
対象会社は2003年10月1日設立、資本金480百万円で、公表時点では株式会社東芝が保有していました。連結売上高は24,338百万円(2022年3月期)、28,309百万円(2023年3月期)、34,540百万円(2024年3月期)、連結営業利益は3,666百万円、3,894百万円、5,486百万円、連結純資産は4,067百万円、4,349百万円、4,914百万円です(出典:日本特殊陶業株式会社 2024年11月25日公表資料)。
取得の理由として買い手は、セラミック素材技術を核に非内燃機関事業の規模拡大を図る戦略を掲げ、「環境・エネルギー」「モビリティ」「医療」「情報通信」の4分野を注力領域としていると説明しています。対象会社は電気自動車等向けベアリングに使用される窒化ケイ素ボールやインバーター向けパワー半導体に用いられる窒化ケイ素放熱基板で同業界のリーディングカンパニーとされています。
株式譲渡実行日は2025年5月30日を予定しています。開示資料は、実行日が国内外の競争法当局によるクリアランスその他の法令上必要となる関係当局の手続によることを注記しています(出典:日本特殊陶業株式会社 2024年11月25日公表資料)。
中小企業の経営者は、どう読むか
この取得価額は、株式の代金だけではありません。開示資料が「ネット有利子負債の額を含む」と書いています。会社を引き継ぐとき、買い手は借入も一緒に引き受けます。だから、株主が受け取る金額と、買い手が全体でいくら払うことになるかは別の数字になります。
自社の譲渡を考えるときも、この二つを分けて見ておく必要があります。借入が多い会社は、株主の受け取りが小さくなる一方、買い手が負担する総額は大きくなります。手元にいくら残るかは、借入の残高を引いたあとの話です。
最終的な取得価額は変動する見込みだと書かれています。契約の時点と実行の時点が離れていると、その間に借入や現金が動くためです。金額が一度で確定しない取引は珍しくありません。
契約から実行まで半年あります。国内外の競争法当局の手続が前提になっているためです。海外で事業をしている会社が相手だと、日本の手続だけでは終わりません。相手の海外展開の広さは、そのまま日程の長さになります。
売り手は大企業です。グループの中で位置づけが変わった事業が、その分野を伸ばしたい会社へ移っています。会社を手放す理由は、後継者の不在だけではありません。