マネーフォワードは2024年11月27日、株式会社シャトクの株式746,100株を取得し、完全子会社化することを公表しました。取得後の議決権所有割合は100%となります。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社マネーフォワード(3994・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社シャトク(中小企業・中堅企業向けSaaS型社宅管理システムの開発・運営) |
| 所在地 | 東京都新宿区 |
| 手法 | 株式取得。個人株主ほかから発行済株式746,100株(議決権所有割合100%)を取得し完全子会社化 |
| 対価 | 非開示(相手側の意向により非開示。買い手のDCF法による評価結果等を基に相手先との間で合意と記載。対価は買い手の連結純資産の15%以下で適時開示基準に該当しないとして任意開示) |
| 日程 | 契約締結 2024年11月27日/株式譲渡実行 2024年12月25日(予定) |
取得価額は相手側の意向により非開示とされています。開示資料は、取得価額の算出根拠として買い手によるDCF法による評価結果等を基に相手先との間で合意したと記載しています(出典:株式会社マネーフォワード 2024年11月27日公表資料)。また、本件の対価は買い手の連結純資産の15%以下であり適時開示基準に該当しないとしています。
対象会社は2018年1月11日設立、資本金125,001千円で、中小企業及び中堅企業向けのSaaS型社宅管理システムを提供しています。公表時点の大株主は個人株主が46.9%で、開示資料は記載のない相手先からも株式を取得するが取得の相手先からの要望により開示を省略していると記載しています(出典:株式会社マネーフォワード 2024年11月27日公表資料)。
対象会社の売上高は25,112千円(2021年12月期)、33,832千円(2022年12月期)、18,100千円(2023年12月期)、営業利益は△2,822千円、△258,252千円、△186,680千円、純資産は45,403千円、△86,097千円、△65,783千円です(出典:株式会社マネーフォワード 2024年11月27日公表資料)。直近2期は純資産がマイナスとなっています。
取得の理由として買い手は、対象会社のサービスが社宅制度の導入を検討する企業に対し仕組み作りのサポートから運用時のシステムまで提供していると説明し、完全子会社化によりプロダクトラインアップの拡充と、自社のネットワーク及び顧客基盤を活用した対象会社サービスの顧客拡大を目指すとしています。株式譲渡実行日は2024年12月25日を予定しています。
中小企業の経営者は、どう読むか
対象会社は直近二期とも純資産がマイナスで、営業利益も赤字です。売上も前の期から減っています。それでも上場企業が全株式を取得しました。赤字であること、純資産がマイナスであることは、譲渡ができない理由にはなりません。
しかも、価額の算出根拠はDCF法だと書かれています。過去の利益ではなく、将来生み出す現金の見込みで値付けしたということです。いまの決算が赤字でも、この先どう伸びるかで金額が付く場合があります。赤字の説明のしかたが、そのまま評価に効きます。
買い手が挙げている理由は、自社の顧客基盤に乗せれば伸ばせるということでした。同じサービスを、自社の販路で売り直すという発想です。自社が売れていないのは商品のせいか、売る力のせいか。後者なら、売る力を持つ相手のところで伸びる可能性があります。
株主の一部は、相手先の要望により開示が省略されています。上場企業が買い手でも、株主の名前を出さない形は取れます。誰が株主かを知られたくないという希望は、実務でよく出てきます。
この開示は、適時開示の基準に該当しないものを任意で出したものだと書かれています。義務ではないが出した、ということです。買い手が自分から説明しようとしているかどうかは、相手の姿勢を見る材料になります。