富士山マガジンサービスは2025年1月24日、取締役会において、連結子会社である株式会社しょうわ出版がクリエイト研究会株式会社の株式を取得し、連結子会社とすることを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社富士山マガジンサービス(連結子会社の株式会社しょうわ出版が取得)(3138・東証グロース) |
|---|---|
| 譲渡対象 | クリエイト研究会株式会社(新設分割により設立予定の会社)(医系予備校・学習塾事業(実用英語検定対策、難関校進学指導)) |
| 所在地 | 大阪府茨木市 |
| 手法 | 会社分割(新設分割)で切り出した会社の株式取得(連結子会社化) |
| 対価 | 普通株式の概算額1円、取得および譲渡に関わるアドバイザリー費用等の概算額25百万円 |
| 日程 | 取締役会決議 2025年1月24日/契約締結日 2025年1月31日(予定)/払込期日 2025年3月31日(予定) |
開示資料によれば、クリエイト研究会は2025年3月に新設分割方式による会社分割により設立される予定の会社で、分割前の会社の事業の大部分を占める医系予備校事業、塾関連授業、実用英語検定対策授業、その他の教育・出版に関する事業を承継します。取得株式数は60株で議決権所有割合は100%、取得価額は普通株式の概算額が1円、アドバイザリー費用等の概算額が25百万円と記載されています。取得価額は外部の専門家による株価算定と、弁護士・公認会計士による法務・財務の調査結果を勘案して当事者間の協議で決定したとしています(出典:株式会社富士山マガジンサービス 2025年1月24日公表資料)。
対象は大阪府茨木市を拠点に小学生から高校生を対象とする予備校・進学指導塾で、2024年11月末時点の在籍生徒は218名、分割前の会社の2024年3月期の売上高は98,931千円、営業利益は3,005千円の損失と記載されています(出典:株式会社富士山マガジンサービス 2025年1月24日公表資料)。株式の取得先は個人株主です。
取得の理由として同社は、対象会社が強みとする英語教育と実用英語検定の対策ノウハウが、自社グループの数学に強みを持つ医系予備校やオンライン質問教室と親和性が高いこと、授業コンテンツをパッケージ化して全国の個人塾や自習室運営事業者へ販売する体制を構築し、地方在住で医系を目指す受験生を支援する体制をつくることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
会社を丸ごと渡すのではなく、新設分割で事業だけを新しい会社に移し、その会社の株式を譲るという組み方です。買い手が引き継ぐ範囲を分割の内容で決められるため、承継させたくない資産や負債を手元に残したい場合に使われます。手続きは株式譲渡より重くなりますが、中小企業でも選べる方法です。
この案件では株式の取得価額がごく少額と開示されており、一方でアドバイザリー費用の概算額はそれを大きく上回る金額が記載されています。株式の値段が小さくても、専門家費用や調査の手間はほぼ同じだけかかるということです。小規模な案件ほど、費用の総額が価格に対して重く見えます。
買い手が挙げた理由は、生徒数や利益ではなく、対象会社が持つ指導のノウハウと自社事業との組み合わせでした。数字が小さい会社でも、相手の事業に欠けているものを持っていれば話が成り立ちます。自社の何が他社に欠けているかを言葉にできるかどうかが分かれ目です。