人的警備を主力とする共栄セキュリティーサービスは2025年1月31日、取締役会において中国警備保障株式会社の全株式を取得し子会社化することを決議したと公表しました。取締役会決議、株式譲渡契約の締結、譲渡の実行はいずれも同日です。

開示された事実

譲受(買い手)共栄セキュリティーサービス株式会社(7058・東証スタンダード)
譲渡対象中国警備保障株式会社(警備業(医療機関等の施設警備・受付、工事現場等の交通誘導警備))
所在地山口県宇部市
手法株式取得(個人株主から全株式を取得し子会社化)
対価中国警備保障の普通株式13百万円、アドバイザリー費用等の概算額16百万円、合計の概算額30百万円
日程取締役会決議・株式譲渡契約締結・株式譲渡実行 いずれも2025年1月31日

開示資料によれば、取得株式数は1,000株で議決権所有割合は100.0%、取得価額は対象会社の普通株式が13百万円、アドバイザリー費用等の概算額が16百万円、合計の概算額は30百万円です。株式の取得先は持株比率100.0%の個人株主です(出典:共栄セキュリティーサービス株式会社 2025年1月31日公表資料)。

対象会社は1982年3月設立、資本金10百万円で、従業員は約70名、山口県宇部市を拠点に医療機関等の施設警備や受付、工事現場等の交通誘導警備を展開しています。直近3期の売上高は178百万円、165百万円、163百万円、営業利益は6百万円、5百万円の損失、4百万円の損失と記載されています(出典:共栄セキュリティーサービス株式会社 2025年1月31日公表資料)。

取得の理由として同社は、価格交渉や人手不足など事業環境が急速に変化するなかで、規模拡大による交渉力の強化と人員確保のためM&Aとグループ経営を推進してきたこと、本件により山口県に新たな拠点を持ち、未進出だった中国地方へのアクセスが可能になることを挙げています。

出典: 共栄セキュリティーサービス株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「中国警備保障株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(2025年01月31日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

対象会社は直近の複数期が営業赤字で、売上も伸びていません。それでも上場企業が全株式を取得しています。赤字だから売れない、という話ではありません。買い手が「その地域に拠点が欲しい」と考えていれば、損益の数字より立地と人員が先に見られます。

一方で、株式の対価とアドバイザリー費用の概算額が並べて開示されており、専門家費用のほうが株式の対価を上回っています。小規模な案件では、費用が価格に対して重く見えるということです。売る側も、手取りを考えるときは対価だけでなく自分が負担する費用を並べて見る必要があります。

決議・契約・実行が同じ日に行われています。交渉が済んで条件が固まっていれば、手続き自体は一日で終わる場合もあります。時間がかかるのは契約の前の段階だということです。

買い手が理由に挙げた「規模拡大による交渉力の強化」は、警備のように人件費の上昇を価格へ転嫁する必要がある業種で繰り返し出てくる動機です。単独では価格交渉が難しいという実感がある経営者にとって、譲渡を考える入口になり得ます。

この業種のM&A・事業承継のページを見る

本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。