マブチモーターは2025年2月7日、取締役会において高精度樹脂ギアメーカーのオービー工業株式会社の株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約書を締結したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | マブチモーター株式会社(6592・東証プライム) |
|---|---|
| 譲渡対象 | オービー工業株式会社(工業用プラスチック製品、金型および治工具の製造販売、すべり軸受・潤滑剤の代理店販売) |
| 所在地 | 大阪市中央区 |
| 手法 | 株式取得(株式を1名へ事前に集約したうえで、現金対価により100%取得・子会社化) |
| 対価 | 非公表(開示資料に「相手先との取り決めにより非開示」と記載。現金対価。資金決済は2025年4月を予定) |
| 日程 | 取締役会決議・株式譲渡契約締結 2025年2月7日/資金決済 2025年4月予定(関係当局への届出等により変更の可能性) |
開示資料によれば、対象会社は1968年4月設立、資本金45百万円で、開示時点の大株主は個人2名がそれぞれ61.5%と16.4%、その他株主が22.0%を保有しています。本件株式取得の実行前に、大株主1名がその他株主の保有する株式の全部を譲り受ける「事前集約」を行い、実行時点の株主は個人2名になる見込みと注記されています。取得対価は相手先との取り決めにより非開示で、事前集約後の株式を100%、現金対価で取得します。グループ会社を含む売上高は直近3期で4,063百万円、4,434百万円、4,016百万円です(出典:マブチモーター株式会社 2025年2月7日公表資料)。
対象会社グループは創業から70年にわたり培った金型技術と成形技術を持ち、日本のほか中国、ベトナム、フィリピンに生産拠点を有しています(出典:マブチモーター株式会社 2025年2月7日公表資料)。
取得の理由として同社は、経営計画で掲げる事業コンセプトのもとで回転にとどまらない多様な「動き」を提供してビジネス領域の拡大と付加価値向上を目指しており、ユニット等の領域拡大ではM&Aや外部提携を積極的に活用する方針であること、対象会社の精密成形の対応能力とグローバルでのワンストップ対応体制を獲得することを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
開示資料が「事前集約」という言葉で、譲渡の実行前に株式を集める段取りを明記しています。買い手は、株主が少ないほうが手続きも交渉も単純になるため、この整理を条件にすることがあります。株式が分散している会社では、譲渡の話が進む前にこの作業が必要になります。
集約は、譲る側の中で株式を売り買いすることになります。その価格の決め方によっては、贈与にあたると判断される余地や、誰の譲渡所得になるのかという論点が出てきます。集約を始める前に税務の専門家に相談しておかないと、後から想定外の負担が出ます。
対象会社は海外に複数の生産拠点を持っています。海外子会社がある会社では、現地法人の資料をどう揃えるか、現地の許認可や労務がどうなっているかが検討の対象になります。開示でも、資金決済の時期が関係当局への届出によって変わり得ると書かれています。
買い手が求めたのは、自社の製品と組み合わせて一体の部品として提供するための技術でした。単体の部品を作る会社が、組み合わせる相手を探している会社にとって価値を持つ形です。自社の製品が誰の製品の隣にあるかを考えると、買い手の候補が見えてきます。