トーアミは2025年2月10日、2025年4月1日付で土木建築業を営む株式会社エアードの発行済株式の99%を取得し子会社化することを決定したと公表しました。あわせて子会社の株式会社渡部建設が1%を取得し、グループで100%の株式を取得することになるとしています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社トーアミ(子会社の株式会社渡部建設と合わせてグループで100%を取得)(5973・東証スタンダード) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社エアード(土木一式工事、とび土工・石・鋼構造物・舗装・しゅんせつ・水道施設工事業、建設資材の販売、産業廃棄物処理・収集運搬業) |
| 所在地 | 静岡県牧之原市 |
| 手法 | 株式取得(親会社が99%、子会社が1%を取得し、グループで100%を取得して子会社化) |
| 対価 | 0円(親会社分・子会社分いずれも開示資料に「取得価額 0円」と記載) |
| 日程 | 株式譲渡契約締結日 2025年2月10日/株式譲渡実行日 2025年4月1日(予定) |
開示資料によれば、取得株式数は同社が396株(議決権所有割合99%)、子会社が4株(同1%)で、取得価額はいずれも0円と記載されています。対象会社の純資産は直近3期で34,840千円の負債超過、32,605千円の負債超過、13,548千円の負債超過で、売上高は142,187千円、224,340千円、256,118千円、営業利益は20,755千円の損失、2,770千円、20,745千円です(出典:株式会社トーアミ 2025年2月10日公表資料)。
対象会社は2001年8月設立、資本金20,000,000円で、1級土木施工管理技士5名および1級舗装施工管理技術者2名を含め、大規模な工事の主任技術者を担った経験を持つ社員が在籍しており、公共工事を中心とした元請け工事の経験を有していると記載されています(出典:株式会社トーアミ 2025年2月10日公表資料)。
取得の理由として同社は、社会インフラの老朽化対策や防災・減災対策の需要が高まるなかで子会社を通じて土木建築事業に取り組んでいること、対象会社が既存子会社と事業領域の重なる部分が多く、グループ全体の受注機会の増加とサービスレベルの向上を見込めることを挙げています。
中小企業の経営者は、どう読むか
取得価額がゼロと開示されています。純資産が負債を上回らない状態、いわゆる債務超過の会社であるためです。債務超過だから売れないのではなく、価格がつかない形で引き継がれるということです。会社を残して従業員の仕事を守ることが目的であれば、この形も選択肢になります。
ただし、買い手は無償で引き受ける代わりに、その会社の借入や債務も一緒に引き受けることになります。値段がゼロであることは、買い手の負担がゼロであることを意味しません。売る側から見れば、個人保証がどう扱われるかがいちばん大きな論点になります。
対象会社は直近の期に黒字へ転じており、売上も伸びています。過去の損失が積み上がって純資産が負になっているだけで、今の事業が回っていないわけではありません。決算書の一行だけを見て「売れない」と判断する必要はないということです。
買い手が理由に挙げたのは、資格を持つ技術者と元請けの経験でした。公共工事では、資格者の数がそのまま受注できる工事の規模につながります。人が資産になっている会社では、その人が残ることが条件になるので、譲渡の進め方を従業員にいつどう伝えるかが重要になります。