大東建託は2024年10月29日、ハウスコム株式会社との間で、自社を株式交換完全親会社、ハウスコムを株式交換完全子会社とする株式交換契約を締結したと公表しました。両社は同日の取締役会でこれを決議しています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 大東建託株式会社(1878・東証プライム・名証プレミア) |
|---|---|
| 譲渡対象 | ハウスコム株式会社(東証スタンダード)(賃貸住宅の仲介) |
| 所在地 | 東京都港区 |
| 手法 | 株式交換(買い手を株式交換完全親会社、対象会社を株式交換完全子会社とする)。交付する株式はすべて買い手の保有する自己株式を充当し、新株発行は行わない予定 |
| 対価 | 対象会社の普通株式1株につき買い手の普通株式0.08株を割当交付 |
| 日程 | 両社の取締役会決議・株式交換契約締結 2024年10月29日/効力発生日 2025年2月1日(予定)/対象会社株式は2025年1月30日付で上場廃止(最終売買日は2025年1月29日)の予定 |
株式交換比率は、対象会社の普通株式1株につき買い手の普通株式0.08株です。開示された株式交換契約書には、買い手が対象会社の株主に対し、その保有する対象会社株式の数の合計に0.08を乗じて得た数の株式を交付すると定められています(出典:大東建託株式会社 2024年10月29日公表資料)。1株に満たない端数は会社法第234条その他の関連法令の規定に従って処理するとしています。
交付する買い手株式は、すべて買い手が保有する自己株式を充当する予定で、新たに株式を発行する予定はないと記載されています。株式交換に際して増加する買い手の資本金の額は0円、利益準備金の額は0円とされています(出典:大東建託株式会社 2024年10月29日公表資料)。
第三者算定機関は対象会社の株式価値をDCF法により算定し、割引率は12.36%〜14.33%、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用して永久成長率は-1.0%〜1.0%としたと記載されています。算定の前提とした財務予測では大幅な増減益を見込んでおらず、当該財務予測は本株式交換の実施を前提としていないとしています(出典:大東建託株式会社 2024年10月29日公表資料)。
効力発生日は2025年2月1日を予定しています。買い手は会社法第796条第2項本文の規定に基づき、株主総会の承認を受けることなく株式交換を行うとしており、対象会社は効力発生日の前日までに株主総会で承認を求めるとしています。対象会社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い2025年1月30日付で上場廃止となる予定です(出典:大東建託株式会社 2024年10月29日公表資料)。
出典: 大東建託株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「法定事前開示書類(株式交換)(ハウスコム株式会社)」(2024年10月29日公表)
中小企業の経営者は、どう読むか
買い手は現金を出していません。対価は自社の株式で、しかも新しく発行するのではなく、すでに自社が持っている自己株式を渡しています。自己株式を持っていると、現金を使わずに会社を迎える手段になるということです。中小企業でも、自社株を買い取って保有している会社は珍しくありません。
対価が株式なので、譲渡した側の株主は買い手の株主になります。受け取るのは金額ではなく株数です。その価値はあとの株価で動きます。現金で受け取るのとは、手元に残るものの性質が違います。
買い手の側は株主総会を開かずに進めています。会社法の定めにより、一定の規模までなら親会社側の総会決議を省けるためです。相手にとっての規模が小さいほど、手続は軽くなります。日程の長さは、金額の大小ではなく、どの手続が必要かで決まります。
算定の前提が数字の幅で開示されています。割引率にも、その先の成長率にも幅があります。企業価値の算定は一つの正解が出るものではなく、前提の置き方で動きます。自社の評価額を一つの数字で聞いたときは、どの前提で出たのかを確かめる価値があります。
効力が発生する日と、上場廃止になる日が先に決まっています。従業員や取引先から見れば、ある日を境に親会社が変わります。譲渡を決めたら、いつ何が変わるのかを日付で説明できるようにしておくほうが、社内は落ち着きます。