カヤックは2024年11月14日、株式会社アスラフィルムとラゾ株式会社の株式を取得し、いずれも連結子会社とする予定であると公表しました。両社の株式は公表時点で同一の個人が100%を保有しています。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 株式会社カヤック(3904・東証グロース) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社アスラフィルム/ラゾ株式会社(デジタルアニメーション撮影、アニメーション企画・制作、作画グロス業務など) |
| 所在地 | 東京都杉並区 |
| 手法 | 株式取得(両社とも100%)。アスラフィルムの800株のうち660株は買い手が既存株主から取得し、140株は買い手の代表取締役2名が自身が保有する買い手株式を対価として既存株主から取得したうえで、その株式も買い手が取得する |
| 対価 | 非開示(守秘義務履行のため非開示。買い手が算定した株式算定価値のレンジ内で両社協議のうえ決定と記載) |
| 日程 | 株式譲渡契約締結日・株式取得日 いずれも2024年11月22日(予定) |
アスラフィルムについては、発行済株式800株のうち660株を買い手が既存株主から取得し、残る140株は買い手の代表取締役2名が自身が保有する買い手株式を対価として既存株主から取得すると同時に、その株式も買い手が取得する予定です。開示資料は、買い手グループの成長にコミットしてもらうために買い手株式を対価としており、買い手が必要な自己株式を保有していないため代表取締役を経由した取引としていると説明しています(出典:株式会社カヤック 2024年11月14日公表資料)。ラゾについては発行済株式40株のうち40株を取得します。
アスラフィルムは2013年11月設立、資本金8,000千円で、売上高は187,685千円(2021年10月期)、168,788千円(2022年10月期)、368,443千円(2023年10月期)、純資産は69,054千円、63,229千円、83,433千円と記載されています(出典:株式会社カヤック 2024年11月14日公表資料)。ラゾは2020年4月設立、資本金2,000千円で、売上高は21,355千円(2024年3月期)です。開示資料は、いずれの経営成績及び財政状態も監査法人による監査を受けていないと注記しています。
取得価額は、守秘義務履行のため非開示とされています。開示資料は、取得価額について買い手が算定した株式算定価値のレンジ内において両社協議のうえ決定していると記載しています(出典:株式会社カヤック 2024年11月14日公表資料)。
取得の理由として買い手は、アスラフィルムがデジタルアニメーションの撮影やアニメーションの企画・制作を展開し、国内4拠点での運営に加えて海外3カ国に業務提携先を有していること、ラゾが国内のアニメーターに加えて北米、南米、欧州、アジアからアニメーターを採用していることを挙げています。株式譲渡契約締結日と株式取得日はいずれも2024年11月22日を予定しています。
中小企業の経営者は、どう読むか
対価の一部が、買い手の株式です。しかも上場している会社の株式です。譲渡した側は、現金だけでなく買い手の株主としても残ります。買い手が「成長にコミットしてもらうため」と書いているとおり、渡したあとも一緒にやってほしいという意思表示でもあります。
その受け渡しに、買い手の代表取締役二名が自分の持ち株を使っています。理由も書かれています。会社が自己株式を持っていなかったからです。渡したい対価が手元に無いとき、誰の持ち物をどう使うかで段取りが変わります。契約の相手方が個人になる場面もあるということです。
対象会社の決算は、監査法人の監査を受けていないと注記されています。中小企業ではこれが普通です。監査を受けていないからといって取引ができないわけではありません。ただし買い手は、その数字を自分で確かめる作業を必ず行います。
二つの会社が、同じ一人の個人に持たれていました。関連する会社を複数持っているオーナーは珍しくありません。全部まとめて渡すのか、一部だけ渡すのかを決めるところから話が始まります。
売上は三億円台と二千万円台の会社です。それでも、拠点の展開と海外の提携先が理由として挙げられています。規模ではなく、どこと、誰と仕事ができるかが評価されています。