日本エコシステムは2025年3月31日、株式会社三進の全株式を取得しグループ化することについて、株主との間で株式譲渡契約を締結することを決議したと公表しました。
開示された事実
| 譲受(買い手) | 日本エコシステム株式会社(9249・東証スタンダード・名証メイン) |
|---|---|
| 譲渡対象 | 株式会社三進(総合建設コンサルタント(河川・道路設計、維持管理業務、UAVを活用した航空写真測量、橋梁・構造物の点検技術)) |
| 所在地 | 岐阜県大垣市 |
| 手法 | 株式取得(個人株主7名から全株式を取得しグループ化) |
| 対価 | 非公表(開示資料に「相手先の意向により非開示」と記載) |
| 日程 | 当社決定日 2025年3月31日/株式譲渡契約締結日・株式譲渡実行日 いずれも2025年4月1日 |
開示資料によれば、取得株式数は60,000株で、取得価額は相手先の意向により非開示とされています。対象会社の株主は個人1名が67.7%、ほかに個人株主6名が32.3%を保有しており、うち6名については相手先の意向により非開示とされています。対象会社は1972年8月設立、資本金30百万円で、売上高は直近3期で909百万円、877百万円、819百万円、営業利益は214百万円、198百万円、118百万円です(出典:日本エコシステム株式会社 2025年3月31日公表資料)。
対象会社は岐阜県を中心に愛知・三重・長野に拠点を展開し、地方公共団体や高速道路事業者を主な取引先として40年を超える取引実績を持ち、技術士や測量士といった専門人材を抱えていると記載されています。
取得の理由として同社は、交通インフラ事業のエンジニアリングサービスの拡大を目的としていること、対象会社が加わることで総合建設コンサルタント業務に参入でき、上流の事業の構築に直結すること、岐阜県で同業を営む自社のグループ会社との連携による既存顧客の相互活用と受注可能な業務の規模・範囲の拡大を見込んでいること、自社の教育機関を活用してグループを越えたエンジニアの育成と資格取得を推進できることを挙げています。
本件は、同年3月21日の取締役会で株式譲渡契約の前提条件および締結の決定を代表取締役に一任することを決議し、3月31日に代表取締役により決定したものです。
中小企業の経営者は、どう読むか
株主は代表者を含む七名で、うち六名は相手先の意向により開示されていません。株式が親族や役員に分かれている会社では、譲渡にあたり全員の合意が必要になります。名前を出さない配慮は実際にされていますが、合意そのものは全員から取る必要があります。
買い手が理由に挙げたのは、技術士や測量士といった資格者を抱えていることと、公共の発注者との長い取引実績でした。どちらも人に紐づく資産で、買っても人が辞めれば消えます。だからこそ買い手は、譲渡後に人が残るかを重視します。従業員への伝え方は、価格と同じくらい重要な論点です。
売上はゆるやかに減り、営業利益も縮んでいます。それでも買われているのは、その会社が持つ立場が買い手の事業計画に直結しているためです。自社の数字だけを見て「今は売れない」と判断する必要はありません。
取締役会で代表者に一任し、後日、代表者が決定するという段取りが明記されています。買い手側の社内の意思決定にも段階があるということです。相手の返事が遅いのは関心がないからではなく、社内の手続きが残っているからという場合もあります。