パスは2024年10月22日、株式会社三和製作所の全株式を取得し子会社化することについて基本合意書を締結することを決議したと公表しました。これは基本合意書の締結であり、株式の取得そのものが決まったわけではありません。契約はこのあとに結ばれる予定です。

開示された事実

譲受(買い手)パス株式会社(3840・東証スタンダード市場)
譲渡対象株式会社三和製作所(制御ソフトウェア製作、AIプログラム開発、特殊放射線測定器製作、廃炉向けロボット製作、土壌除染装置開発及び製作)
所在地神奈川県横浜市港北区
手法株式取得に向けた基本合意書の締結(800株・議決権所有割合100%を予定)。決定ではなく、協議の開始です
対価未定(開示資料に「取得方法含め現在協議中であることから決定次第お知らせいたします」と記載)
日程2024年10月22日 取締役会決議・基本合意書締結/2024年11月 株式譲渡契約締結予定/2024年11月 株式譲渡実行予定

開示資料によれば、異動前の所有株式数は0株(議決権所有割合0%)、取得株式数は800株、異動後は800株(議決権所有割合100%)です。取得価額については「取得方法含め現在協議中であることから決定次第お知らせいたします」と記載されています。日程は、取締役会決議日と基本合意書締結日がいずれも2024年10月22日、株式譲渡契約締結日と株式譲渡実行日がともに2024年11月の予定です(出典:パス株式会社 2024年10月22日公表資料)。

対象会社は昭和46年3月1日設立、資本金1,000万円で、制御ソフトウェアの製作やAIプログラム開発、特殊放射線測定器の製作、廃炉向けロボット製作、土壌除染装置の開発及び製作を手がけています。株主は個人2名と法人1社で、持株比率は47%、43%、10%です。直近3期の売上高は2021年8月期が68,268千円、2022年8月期が178,703千円、2023年8月期が222,686千円で、純資産は2021年8月期が▲8,136千円、2022年8月期が▲7,335千円、2023年8月期が3,603千円です(出典:パス株式会社 2024年10月22日公表資料)。

買い手は2024年8月26日付で対象会社と産業機器の開発及び販売業務に関する業務提携契約を締結しており、今回の株式取得はその延長にあると説明しています。AI及びロボティクス技術を活用した産業機器の製造販売事業へ直接参入すること、対象会社がバイオマス発電設備に関するガス炉の製造受託を行っていることから自社のバイオマス発電事業との相乗効果を見込むこと、対象会社が福島の復興に関わる装置の開発・製造を行っていることを挙げています。基本合意書の締結により2025年3月期の連結業績に対し売上165百万円程度、売上総利益66百万円程度、営業利益52百万円程度の影響が生じる見込みと記載されています(出典:パス株式会社 2024年10月22日公表資料)。

出典: パス株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式取得(子会社化)に向けた基本合意書締結のお知らせ」(2024年10月22日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

この開示は基本合意の段階です。買うことも売ることも、まだ決まっていません。基本合意書は、条件の大枠とこれから何を調べるかを確認する書面で、ここから調査に入って条件が変わることも、話が終わることもあります。

金額が決まっていないと明記されています。買う方法そのものも協議中と書かれています。基本合意の段階で金額が確定していないのは珍しいことではなく、調査の結果を受けて詰めるのが通常の順番です。

買い手と対象会社は、その数か月前に業務提携契約を結んでいます。まず一緒に仕事をして、そのうえで株式の話に進んだ形です。相手のことを知ってから買うという順番は、買い手にとっても売り手にとっても 危うさが小さくなります。提携から始める道は、いきなり譲渡の話をするより穏やかです。

対象会社は二期前まで純資産が負の状態でしたが、直近期で正に転じ、売上も伸びています。過去に債務超過だったことが、譲渡できない理由になるわけではありません。買い手が見るのは、いまどちらの向きに動いているかと、その理由が説明できるかどうかです。

株主は個人二名と法人一社に分かれています。全部を取得するには三者すべてと同じ条件で合意する必要があります。株式が分かれている会社では、この合意を揃えることが工程の中で最も時間のかかる部分になります。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。