人材マッチングプラットフォームを運営するクラウドワークスは2024年10月31日、株式会社CLOCK・ITの既存株主から議決権所有割合の100%を取得し、子会社化することを公表しました。取得株式数は1,231株、取得価額は1,160百万円で、別途アドバイザリー費用等の概算額81.8百万円が記載されています(出典:株式会社クラウドワークス 2024年10月31日公表資料)。

開示された事実

譲受(買い手)株式会社クラウドワークス(3900・東証グロース)
譲渡対象株式会社CLOCK・IT(システムインテグレーション、Webアプリケーションの受託開発、自社メディアの企画・開発・運営等)
所在地東京都渋谷区
手法株式取得(議決権所有割合100.0%)。取引実行の条件として、対象会社の一部事業を新設分割で新会社へ承継させ、その新会社の株式は対象会社から代表者へ配当されるため、新会社は対象会社と資本関係を有しないことになる
対価1,160百万円(別途、アドバイザリー費用等の概算額81.8百万円)
日程取締役会決議・契約締結 2024年10月31日/株式譲渡実行 2024年11月27日(予定)

対象会社は2016年3月10日設立、資本金12百万円で、公表時点の大株主は個人株主2名です。売上高は1,131百万円(2022年3月期)、1,656百万円(2023年3月期)、2,146百万円(2024年3月期)、営業利益は20百万円、33百万円、51百万円、純資産は64百万円、90百万円、131百万円と推移しています(出典:株式会社クラウドワークス 2024年10月31日公表資料)。

本件に先立ち、対象会社の事業の一部であるベビーシッターマッチングサイト事業及びノーコード作成マッチングサイト事業を、株式譲渡実行日までに対象会社が新たに設立する予定の新会社へ承継させる新設分割が実行されることが、取引実行の条件とされています。開示資料は、当該新会社の株式は対象会社から同社の代表者に配当されるため、新会社は対象会社との間で資本関係を有しないことになると記載しています。新設分割される2事業の2024年3月期の売上高は51百万円です(出典:株式会社クラウドワークス 2024年10月31日公表資料)。

取得の理由として買い手は、自社プラットフォームに登録するクライアント企業は99.0万社、登録ワーカーは654.8万人を突破したとしたうえで、対象会社を迎えることで全社売上総利益の約6割を占めるエンジニア/デザイナー領域においてより付加価値の高い提案が可能になると説明しています(出典:株式会社クラウドワークス 2024年10月31日公表資料)。登録しているフリーランス人材が対象会社の開発・運用案件に参画することで、両社の成長が見込まれるとしています。

株式譲渡実行日は2024年11月27日を予定し、連結業績への取込みは2025年9月期第1四半期からの見込みとしています。

出典: 株式会社クラウドワークス(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式会社CLOCK・ITの株式取得(子会社化)の契約締結に関するお知らせ」(2024年10月31日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

買い手は、会社を丸ごと引き取っていません。対象会社が持っていた二つの事業を、譲渡の前に新しい会社へ移し、その新会社の株式を元の代表者に渡す形で切り離しています。しかもこれが取引の実行条件になっています。買い手が欲しいものと、売り手が持っているものが完全に一致しないのは普通のことです。

この切り離しは、事業を捨てたのではありません。元の株主の手元に残る形になっています。会社は渡すが、この事業は自分で続けたい、という希望は、設計次第で通ります。逆に言えば、何を渡して何を残すかを早い段階で決めておく必要があります。

対価のほかに、アドバイザリー費用等の概算額が別に書かれています。受け取る金額と、そこから出ていく費用は別に数えるものです。手元にいくら残るかを見るなら、譲渡価額だけを見ていては足りません。

対象会社は二人の個人株主がほぼ半分ずつ持っていました。株主が二人で持分が近い会社は、意思決定で止まることがあります。譲渡のときは、二人の考えが揃っているかどうかが最初の関門になります。揃っていない状態で話を始めると、途中で動かなくなります。

買い手が挙げている理由は、自社に登録している人材を働かせる先を確保することでした。人を集める仕組みは持っているが、仕事を受ける器が足りないという話です。買い手が何に困っているかを知ると、自社が誰の役に立つのかが見えてきます。

この業種のM&A・事業承継のページを見る

本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。