訪問看護事業などを手がけるRecovery Internationalは2024年11月29日、株式会社clutch communicationとの間で、同社が営む有料職業紹介事業の再建支援を目的とする基本合意書を締結したと公表しました。対象会社は同日、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行っています。これは事業承継の決定ではなく、最終契約に向けた協議の開始です。

開示された事実

譲受(買い手)Recovery International株式会社(9214・東証グロース)
譲渡対象株式会社clutch communication(有料職業紹介事業)(医療介護業界に特化した有料職業紹介事業等)
所在地東京都港区
手法基本合意書の締結(事業の再生支援)。対象会社が営む有料職業紹介事業の承継と最終契約の締結に向けて、支援想定・支援条件等を相互に確認するもの。承継の方法は別途合意する。これは決定ではなく、協議の開始です
対価未定(本基本合意書は支援想定・支援条件等の相互確認であり、承継の方法は別途合意するとされている)
日程取締役会決議・基本合意書締結 2024年11月29日/2025年2月28日までに最終契約を締結できるよう誠実協議すると記載。対象会社は同日、東京地方裁判所に民事再生手続開始の申立てを行っている

開示資料によれば、対象会社は2021年5月19日設立、資本金122,100,000円で、医療介護業界に特化した有料職業紹介事業と、有料職業紹介事業の立上・運営支援を行う事業コンサルティング事業を主たる事業としてきました。2024年11月期に事業コンサルティング事業を撤退することとし、これに伴い多額の費用負担が生じたこと等により自力での事業継続が困難な状況となったとしています(出典:Recovery International株式会社 2024年11月29日公表資料)。

対象会社の売上高は27百万円、220百万円、594百万円、営業利益は6百万円、10百万円、29百万円、純資産は9百万円、15百万円、36百万円と推移しています(出典:Recovery International株式会社 2024年11月29日公表資料)。

基本合意書の内容として、買い手が対象会社との間でDIPファイナンスの契約を締結のうえ、再生手続の維持・遂行に必要な資金を貸し付けること、基本合意締結後に買い手が必要と判断した事項についてデュー・デリジェンスを行うことができることが記載されています。両者は2025年2月28日までに最終契約を締結できるよう誠実協議するとしています(出典:Recovery International株式会社 2024年11月29日公表資料)。

開示資料は、対象会社の再生には外部スポンサーが不可欠であり、事業の維持及び再建のための従業員の雇用確保や取引先との関係継続等に鑑みて、民事再生手続開始申立て時点で資金繰り支援が可能なスポンサー候補を選定したプレパッケージ型での申立てを希望した対象会社からの提案を受けて検討したと記載しています。

出典: Recovery International株式会社(TDnet適時開示。TDnetでの公開期間が終了しているため、URLは株探が保存する原本PDF)「株式会社clutch communicationの事業の再生支援に係る基本合意書締結のお知らせ」(2024年11月29日公表)

中小企業の経営者は、どう読むか

この開示は、事業を引き継ぐと決めたものではありません。基本合意書で、支援の想定と条件を相互に確認した段階です。最終契約の期限も「までに誠実協議する」という書き方で、締結を約束したものではありません。基本合意と最終契約の違いは、ここに表れています。

対象会社は、申立てと同時にスポンサー候補が決まっている形を選んでいます。再生手続に入ってから相手を探すのではなく、先に支援者を決めてから申し立てるという進め方です。従業員の雇用と取引先との関係を続けるためだと書かれています。順番を変えるだけで、残せるものが変わります。

支援の第一歩は、資金の貸付です。手続を続けるための資金がなければ、事業はその間に止まってしまいます。会社の状態が厳しいときは、相手を探すことと同時に、当面の資金をどうするかが問題になります。

対象会社の売上は三期で大きく伸びていました。それでも一つの事業を撤退した費用で継続が難しくなっています。伸びていることと、続けられることは別の話です。手元の資金がいつまで持つかは、別に数えておく必要があります。

この段階でもデューデリジェンスは行われます。支援すると言った後でも、中身を確かめる作業は残ります。厳しい状況での譲渡でも、資料を出して説明する工程は省かれません。

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本記事は、各社が公表した適時開示資料などの一次情報を当社が要約したものです。当社の成約実績ではなく、当社が関与した案件でもありません。記載の事実は公表日時点のもので、その後変更されることがあります。詳細は出典の資料をご確認ください。